ある日のシフォン。
著者の名誉にかかわりそうなので参考レシピは秘す。
「アプリコット&チーズのシフォンケーキ」という、なんともそそる名前のシフォンだった。
ちょうど期限がやばいクリームチーズがあったので、それをまるまるひと箱使い、我が家で最大の20cm型で焼いた。玉子は7個使用。
アプリコットジャムの在庫がなく、「ジャムはお好きなものに変えてもオッケー」ということだったので、場所を取るから冬まで開栓しないでおこうと思っていた特大ゆず茶(ジャムらしきものがこれしかなかった)のビンを、このためだけに開けた。
全て在庫で済ませたものの、今まで作った中ではかなりゼイタク系のシフォンだったので、失敗のショックでひっくり返りそうになった(大げさ)。
「これはチーズケーキなんだよ」と、自分と夫に言い聞かせ、手でむしりながらむしゃむしゃ食べた。完食まで数日かかった。
そして現在、ただでさえ自家製酵母のビンが幅を利かせている冷蔵庫にさらに特大ゆず茶のビンが加わり、とんでもない圧迫感を放っている。
そんな残念な結果を踏まえ、初めて作るシフォンはいきなりデカサイズにするのはやめようと心に決めた。
かというとそうでもない。
その直後のシフォン。
ピンクグレープフルーツのシフォン。
参考書は例によって【まいにち食べたい“ごはんのような”シフォンケーキの本】
ホールとピースがなぜ同じ写真におさまっているかといえば、いちどに2ホール焼いたから。
仲良くオーブンに二つ並んだ17cm型を眺めながら
「これが全滅だったら笑っちゃうな、はは」と、乾いた笑い声が出た。
よく見れば、かなり大きい穴があいてたり上の方が焼き縮んでたりするが、前回の大崩落に比べればこんなものは失敗のうちに入らないのだ。気にしない気にしない。
子供の頃、つぶつぶオレンジのジュースが大好物だった。
グレープフルーツ2個分のつぶつぶをほぐす作業は結構骨が折れたが、このノスタルジックなつぶつぶ食感には労も吹き飛ぶ。
2ホール全部一人で食べてしまいたかったがぐっと我慢して、普段牛乳とか昆布とかいろんなものをくれる心優しいパート仲間たちに差し入れることにした。
普段は「人様にあげられるほどのものでは…」と、ひたすら自家消費に走っているが、大失敗の後だけに実際以上に大成功したようなつもりになって、気が大きくなっちゃったのである。
いつかは自信を持ってひとさまにおだしできる売り物みたいなステキシフォンが焼きたいけど、それまでに何百回失敗すればいいのだろうか。
道は険しく長い。
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